サラリーマンをやってるとふと
「長距離トラックの運転手に転職してみようかな…」
なんてことを思ったことある方は多いと思います。
上司や同僚との人間関係に疲れ果て、ノルマという悪魔に年中追いかけられ、そして、朝と夜の満員電車に揺られ。
こんな毎日を送っていると、1人で誰にも気兼ねなく働ける長距離トラックドライバーが羨ましく思えるもの。
でも、ちょっと待ってください。
余程の運転好きでもない限り「長距離トラックドライバーはやめとけ」という職業なのです。
長距離トラックでも高速はそう簡単に乗らせてくれない
長距離トラックといえば高速道路をビュンビュン飛ばしていくイメージがありますが、基本的には高速道路は乗らせてもらえないと思った方が無難です。
その理由は高速料金が高いから。
例えば、東京から大阪の吹田までを東名、名神高速を使うと、普通自動車は8070円(ETC利用)です。
が、これが大型車料金となるとなんと17590円!と倍になります。
当然、高速を使わない方が会社としては利益が出るんですね。
運送会社によっては「高速を使うな」とは言わず「使ってもいいけど‥」という場合もあるででしょう。
でも、経営者側にとっては「できれば高速は使ってくれるな」というのが本音。
そうなると、高速を使わず道が空いてる一般道を走るために、真夜中に走りまくる運転手を評価します。
運送業者の中には、「大阪から静岡や広島あたりなんて中距離だ」なんていう会社もあり、高速道路を使うなんて非国民みたいな扱いをされることも。
空いてる国道を使うために、朝早く出発するのではなく、真夜中に出発するのが長距離トラックドライバーに課せられる十字架なのです。
トラック運転手は給油所でシャワーを浴びる
長距離トラック業に乗っているとお風呂に入れません。
なぜなら、トラックを駐車できるスーパー銭湯なんてないから。
ごくたまに温泉施設のあるサービスエリアがありますが、毎回そのサービスエリアを通過するかどうかは自分では決められません。
じゃあ、長距離トラックドライバーはいつ風呂に入るの?といえば
ガソリンスタンド内にあるシャワーを浴びる
んです。
街中にある多くのガソリンスタンドにはありませんが、国道沿いにある大型トラックが給油できるくらい大きなガソリンスタンドにはほぼこのシャワー施設が備わっています。
もちろん、湯船などはなくただシャワーを浴びるだけ。
真冬だろうがシャワーのみ。
絶対寒いでしょ、これ。
荷物の積み込み・積み下ろしがきつい
長距離トラック運転手って、1人で運転して気軽な仕事というイメージがあります。
ラジオを聴いて鼻歌歌いながら。
でも、トラック運転手といえどもハンドルを握ってアクセルを踏むだけでよい、という訳にはいきません。
宅配便だって運転だけでなく、荷物をトラックに積んで、そして玄関まで持っていきます。
トラック運転手もこれと同じ。
フォークリフトで荷物を積んでくれる荷主さんだったらいいんですが、中には
「積むのも運送会社の仕事だ」
というに荷主も多かったり。
フォークリフトを貸してもらって自分のトラックに積み込み、それが終わってから初めて出発、なんてケースばかりだったりします。
でも、フォークリフトが使えるパレットに載せられた積荷だったらまだマシ。
ダンボール一つ一つを手積みで載せさせる荷主もいたりするので。
簡単にはトイレにたどり着けない
日本にはコンビニエンスストアがいたるところにあります。
ひどいところはセブンイレブン・ローソン・ファミリーマートが並びで建っているところもあります。
なので私たちは基本的にトイレ探しに悩む事はありません。
しかし、長距離トラック運転手は気軽にコンビニに寄る事はできないんです。
理由は大型トラックを駐車できないから。
そう簡単に路駐してコンビニに寄る事はできないんですね。
当たり前ですが。
こうなると、トイレや食事は高速のパーキングや道の駅に頼らざるを得なくなります。
田舎の方に行けば大型トラックが停められるコンビニはありますが、どのコンビニも大きな駐車場を持っているとは限りません。
突然の腹痛に襲われた時、目の前にコンビニがあっても寄る事ができないという悲しい状況が。
「あ!小さいコンビニ見つけた!」と思っても、我慢の子なのであります・・・・・。
長距離トラックのメインの仕事は「ひたすら待つ」こと
宅配便なんかの場合、不在通知を書いて宅配ボックスなんかに入れておけば無事配達完了となる訳ですが、長距離トラックの荷物はそういう訳にはいきません。
基本的に大型トラックが積む荷物は工場から工場へ搬送するものです。
お客さんの工場にも様々な都合があるので早く着いたからチャッチャと降ろそうぜ!とはなりません。
トラック運転手は工場が開いたり、自分の番になるのをひたすら待つ、ということになります。
じゃあ、ちょうどの時間に着けばいいんじゃ?と思うでしょう。
しかし、そういう訳にもいかないのです。
工場などにはいろんな所からいろんな荷物が届きます。
いろんなトラックが積み下ろしをしにやってきます。
当然、他の長距離トラックも虎視眈々と早く自分の荷物を積み下ろししたいと考えているんですね。
そうなると、他のトラックが積み下ろしをしている間は待たなければいけないので、必然的にみなさん我先に!と順番待ちをすることになります。
よく道路にいくつもの大型トラックがエンジンかけて停まっていることがありますが、実はアレ、休憩が目的ではなくて積み下ろしの順番に並んでいるんですね。
大型トラックは速度を監視されているので早めに出発する
車を運転している時に大型トラックの後ろに付いたことは一度くらいあるでしょうが、今度こんな機会があったら是非トラックの最後尾を観察してみてください。
必ずと言っていいほど「このトラックには速度抑制がついてます」マークが付いているハズ。
速度抑制装置というものは、トラックが制限速度を超えた場合チャイムなどでお知らせしてくれるシステムです。
昔の乗用車にもありましたが「アンタ、スピード出し過ぎっすよ!」と機械に注意されちゃうんですね。
大型トラックは基本的に一般道では60km/h、高速道路では80km/hというのが速度制限の目安です。
そして大型トラックの速度抑制装置には飛行機のフライトレコーダーのように、何時に時速何キロで走っていたかというデータが事細かく記録されているのです。
もうこれはゴマカしようがありません。
これに引っかかってしまうと、減給などのペナルティが待っています。
なので、大型トラック運転手は遅れそうだからぶっ飛ばして、という事ができないのです。
つまり、自分の時間を削って早めに出発するという方法をとるしかないのです。
最近では大型車の制限速度を上げた高速道路も多いですが、一般道はほぼ変化なし。
急ぎたくても急げない長距離トラックドライバーは睡眠時間と引き換えに走るのです。
強制的に「休憩」を取らされる
高速道路のパーキングエリアや道の駅とかにトラックを止めているのはよく見るとは思いますが、人気のない山道とかにトラックを止めているのを見かけたことはありませんか?
あれ、強制的に休憩をさせられているんです。
実は大型トラックドライバーには、何時間運転したら何分休憩しろ、という強制的なルールがあるのです。
トラック内には走行している時間などを記録する装置があり、何時間か走ってると「もうすぐ休憩ですよ」というアラームが鳴るようになっています。
でも、これを無視すると速度超過と同じくペナルティーの対象。
アラームが鳴ってるのに無視して走り続けたりすると、減給などの反則金が待っています。
なので、タイミングが悪い場合、電灯一つない真っ暗な場所で強制的に休憩を取らされることも。
これは怖い。
荷物がいっぱいだとお化けより坂道が怖い話
長距離トラックは大型が多いので、積み込む荷物も必然的に多くなります。
ということは、重い荷物を載せて走ることが多くなります。
大型トラックの場合、何トンもの荷物を運ぶので発進する際どうしてもゆっくりになります。
そりゃあ、パワー使うでしょうから。
よく発進が遅いトラックを見かけますが重い荷物が原因なんですね。
でも、平坦な道の場合だと遅いだけで済むのですが、登り坂の場合だと話が違ってきます。
信号待ちや渋滞などで登り途中で止まってしまうと、再び走り出すのがものすごく難しいのです。
ローギアにしても、これがまたビックリするくらい動かなくなります。
熟練運転手は信号などで止まることが分かっている場合、前の車との車間を死ぬほど空けて止まらないように超ゆっくり走るようにしているそうです。
雪が降っている場合登り坂で止まると、相当ヤバい事態になるとか・・・・。
夜中の山中で動けなくなったら、お化けよりも怖いかも。
長距離トラックドライバーはやめとけwのまとめ
昔は給料も今の2〜3倍はあったらしく荷物も「運んでやる」というような立場だったそうですが、今は「運ばせてください」という状況だそうです。
積み込みや荷下ろしはドライバーの仕事ではなく、本当に運転するだけという時代があったようですが、今違います。
2024年になって労働時間が短縮され、不眠不休の運転は避けられるようになりますが、その分お給料も↓。
誰とも話さないで済むというメリット以上にデメリットが大きそうです。
確かに誰と喋らず、1人気ままに運転できるという点は変わりないですが、「本当にその仕事でいいの?」というのが長距離トラックドライバー。
サラリーマン生活に疲れ果てたといって、「とりあえず大型免許でも取ろうか‥」という思考停止だけは避けてくださいね。